Sound of Love - ミカ&リチャード・ストルツマンデュオ

Performance Review of Stoltzman Duo at Carnegie Hall by Michael Goldstein

マリンバ奏者&クラリネット奏者としてそれぞれ活躍する、著名な音楽家Duo, Mika & Richard Stoltzmanは、異なるジャンルの混交したアメイジングで多様な才能にあふれる技量を一夜限りの、Carnegie Hallでのコンサートで披露した。コンサートは、彼らの代表作、ビル ダグラスのIrish spiritで開幕した。

彼らが探求する、クラシックとジャズの相互の魅力を高めながら奏でる独自の技法はwonderfulなクリアボイスの共有と、魂を豊かに満たす(enrich the soul) 理想的な心地よい音楽のmariageを際立たせていた。

Richardはわずか一音節にも、感情の幅を彼のクラリネットで表現することを求める多才なクラリネット奏者である。コンサート全般を通して、彼のソロでは、情熱と寛容な魂がうまく表現されていた。彼のソロは疑いなく、感情豊か である一方で、妻であるMikaとの共演では、彼のクラリネット演奏は全く新しい(異なる)世界(another level)を表現していた(別のレベルに突出していた)。

一方、マリンバ奏者であるMikaは 、全身全霊を単一の楽器に込め、人が持ち得る幅広く、多様なフィーリングを表現できることを示すことのできる、(称賛したい)音楽家(a living testimonial)である。この才能は、彼女が規則正しく(継続的に)、大胆(勇敢)に、そして途切れることなくスムーズに、無数のトーンとパターンを 変換(switch through)しながら演奏した 、その夜の彼女の最初のソロ“The Nymphs for solo Marimba”でクリアに表現された。

その晩の最後の演奏には、数名の演奏家たち、ベースのEddie Gomez, ドラムのChris Moran, パーカッションのDuke Gadd が加わった。5名の音楽家の共演は、筆舌に尽くしがたいほどの、何かラウンジバーから飛び越したような、ポップとジャズの総合体をはっきりと表していた。それは、歓喜と情熱の夜の最後にぴったりであった。

http://www.theartistsforum.org/…/30_PERFORMANCE_REVIEW__THE…

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ボストン・ミュージカル・インテリジェンサー(2014年7月7日)

 

「サンディ・ベイの即興とビート」

Jammin’ and Groovin’ on Sandy Bay

———セス・ボトス

 

 シェイリン・リュー・パフォーマンス・センターの美しい背景幕は、クラリネット奏者リチャード・ストルツマンとマリンバ奏者ミカ・ヨシダ・ストルツマンと、「バッハの将来へ」と銘打ったプログラムにぴったりだった。絵に描いたように美しい日曜日、ホールは満員だった。

 

 演奏者は二人とも、人なつこい性格で、ユーモアのセンスもある。リチャード・ストルツマンは、満場の観客に驚いたように舞台に登場し、この夜、なぜこうした選曲をしたのかウィットの効いた話を披露した。ビル・ダグラスの「アイリッシュ・スピリット」、ジョン・ゾーンの「ニンフス」、サーバン・ナイシフォーのマリンバ・ソロのための「カルーシャー」、マシュー・トマシーニの「クレセント・ムーン•レット・ミー・ラブ・ユー」、ウィリアム・トーマス・マッキンリーの「モーストリー・ブルース」、チック・コリアの「マリカ・グルーブ」など、彼らが奏でた多くの曲が、彼らのために作曲あるいはアレンジされたものだ。ミカ・ストルツマンはどうやら、「ジョン・ゾーンさん、私に曲を書いて!」と、アポなしで作曲家を訪問し、頼んだようだ。サーバン・ナイシフォーは、今回が初演のカルーシャーを彼女に贈ったが、フェイスブックでつながった後に報酬なしで作曲した。二人の楽しそうな雰囲気は、演奏にもよく表れていた。二人とも生き生きとして、コンサートの間、常に微笑み、時にミカは、熱中して舞台の床を足で踏みならしていた。

 

 ストルツマン夫婦は、ソロの演奏で際立って高度な技術をみせてくれた。リチャード氏が編曲したヨハン・セバスチャン・バッハ「半音階的ファンタジーとフーガ ニ短調」は、クラリネットの驚くべき明快さ、コントロール、表現の豊かさをみせた。あるパッセージは、いつまでも続くかと思われる上昇のアルペジオだったが、光のスピードの速さで、難なく演奏された。ルーマニア生まれのサーバン・ナイシフォーによる「カリンクス」の冒頭は、同じように印象的で、クラリネットという楽器の音色とダイナミックさを存分に生かし、低音から高音まで光のような速さで流れていった。

 ミカも、彼女のための楽器であるマリンバで熟練度をみせた。ニンフスは、キーボードの両端のオクターブに腕を延ばすことを要求する曲だが、ミカは、驚くような機敏さと、手のコントロール力をみせた。この曲の多くの部分は、左で低音のオスティナートを繰り返し、右では入り組んだメロディを奏で、難なく4分の4拍子から8分の9拍子に行ったり来たりした。カルーシャーの初演でミカ氏は、急にピアノやフォルテになったりする強弱を完璧にコントロールしながらも、夢中になった様子で高音から低音まで弾むように奏でた。私自身もパーカッショニストだが、両手で4本のマレットを持ち、複雑なハーモニーを演奏するマリンバ奏者は、驚くべきミュージシャンだと今後も思い続けるだろう。ミカは、コードを奏でるために、手と腕を常にひねっていた。

 二人のデュオは、それぞれの楽器で表現できる感受性に加え、絶妙にうまが合うところも、みせてくれた。最初に演奏したビル・ダグラスの「アイリッシュ・スピリット」は軽快に始まり、マリンバにサポートされ、クラリネットの美しいメロディが流れた。ハーモニーを保つために、ミカはロールを使わなくてはならなかったが、あまりにも美しく演奏されたため、シンセサイザーのキーボードかと思うほどだった。第2楽章は、明るいアップテンポで、ユニゾンのメロディを二人は熟達した技量で演奏し、旋律を絡み合わせた。武満徹の「ウィングス」と、マシュー・トマシーニの「レット・ミー・ラブ・ユー」でも、二人はセンチメンタルなムードを作り上げた。

 しかし、この夜のハイライトは、二人の驚くような多様性とクロスオーバーな技量をこの目で見たことである。バッハの「二つのインベンション」のナンバーでは、クラリネットが右手パート、マリンバが左手パートというように極めて普通に始めた。しかしすぐに、二人ともそれぞれのアレンジを入れ始めた。リチャードが最初にジャジーな感じで高音に上昇し、音をのばした。次のパートでは、ミカ氏がマレットの木の柄のところを使い始め、終わりの部分では、一本はマレットの柔らかい先、もう一本は木の柄の部分を使って演奏したため、美しいカタカタという効果音をつくり出した。アストア・ピアゾラの「タンゴ組曲」は、クラリネットのメロディとともに、足を踏み鳴らし、手で拍をとって始まり、同じように拍子を取りながら曲を終えた。ウィリアム・トーマス・マッキンリーの「モーストリー・ブルース」は、二人が最初にジャズの技量を見せた曲だ。クラリネットが心地よい、ちょっといたずらっぽいメロディを奏で、マリンバは素晴らしいリズムで伴奏した。この曲は、作曲家が望んだ通り、フォームがひねられたり、新たに作られたり、ほんとうにブルースっぽかった。リチャード・ストルツマンの旧友であるマッキンリーが、この晩は来場していた。演奏が終わると、演奏家が「ハッピーかい?」と尋ね、マッキンリーは、演奏は素晴らしいものだったと答えた。同氏は、二人のリズムがよかった、と指摘し、「いくらでもほめたたえることができるよ」と締めくくった。作曲家の賛辞をもらうのが、音楽家としてどんなに達成感があるか自分も知っているので、うれしくなる瞬間だった。次のモーリス・ラベルの「パヴァーヌ」のデュオでは、演奏家たちはさらに生き生きとして、マリンバを伴奏部に中ほどで盛り上がり、クラリネットのベンドの音を最高潮にもっていった。

  この夜のクライマックスでは、偉大なるチック・コリアが作曲した「マリカ・グルーブ」演奏のために、ベースにイッペイ・イチマル、ドラムにクリスチャン・モランが加わった。リチャードの説明によると、ピアニストとして知られるこの作曲家は、若い頃ドラムが好きで、マリンバは、ドラムとピアノの架け橋のような楽器だと感じてきたという。ミカのコリアに対する唯一のリクエストは、「どうか、グルーブにしてくださいね」というもので、ほんとうにグルーブな演奏だった!カルテットのひとりひとりが、すばらしいインプロビジョンを披露した。私としては、特にクラリネットとベースがユニゾンになったところが最高で、マリンバとドラムもそれに続いた。

リチャードとミカ・ストルツマンは、音楽のジャンルにかかわらず、クラリネットとマリンバの大御所であることを証明した。

 

 最初のアンコール、「マリンバ・ラップ」の歌は、ジュリー・スペンサーの「エブリバディ・トーク・アバウト・フリーダム」で、スタンディング・オベーションにつながった。ストルツマン夫妻は、時に日本語を混ぜて旋律をやり取りし、観客が「なんて言ったの?」と聞くように仕向けた。これを楽しんだ観客は、再びスタンディング・オベーションを送った。私は、どんなジャンルの音楽でも、あるいは楽器編成でも、真実の喜び、巧みな技術そして工夫というのがあるのだ、と思い、会場を去った。リチャードとミカ・ストルツマンが、新たな興奮と工夫に満ちたアイデアを持って、このエリアに戻って来るのが待ちきれない。

(了)